建国大学病院産婦人科では産科、婦人がん、内分泌、一般婦人科など、診療領域を細分化すると共に、ハイリスク妊娠クリニック、子宮・卵巣がんクリニック、思春期・未婚女性クリニック、閉経クリニック、性クリニックなどの専門クリニックと分娩室、超音波検査室、胎児安寧検査室などの運営を通して、より専門的な診療を行っています。婦人科手術は内視鏡手術を基本とする最小侵襲手術を施行しており、子宮筋腫治療においては子宮動脈塞栓術行っています。

分娩室では原則として1人用陣痛室の運営による家族立会い分娩を実施しており、家族構成員なら誰でも産婦の陣痛を分け合うことができます。また「中央モニタリングシステム」の導入により各陣痛室の産婦と胎児の状態を医師や看護師が一目で把握できます。家族立会い分娩室（LDR）では、日本の皇太子妃の出産で有名になった分娩ベットにて陣痛から出産、出産後の管理まで受けることができます。また出産後には産婦と胎児が一緒に過ごせる母子同室の利用が可能です。本産婦人科は母乳育児を積極的に勧めることを認められ、2000年にユニセフから「赤ちゃんにやさしい病院」に指定されました。

分娩室

自然分娩を積極的に支持します。

家族立会い分娩を原則としており、家族構成員なら誰でも陣痛室に入室し、出産における精神的・肉体的苦痛を分け合うことができます。旦那さんの積極的な参加により、分娩直後に赤ちゃんがお母さんの心臓の音が聞け、またへその緒を一緒に切ることができます。

陣痛中の産婦は横になっているだけではなくボールやスイングチェアを利用して自由に体を動かすことができ、体操などの運動をすることを勧めます。分娩室では日頃から聴いていた音楽を聴くこともできます。ルバイエ分娩、ソフロロジー式分娩、ボール分娩、スイングチェア分娩及び無痛分娩を実施します。

① ルバイエ分娩：出産時において産婦の苦痛だけに気を使うのではなく胎児に配慮する分娩法です。子宮から産まれる赤ちゃんのストレスを減らすために下記のような方法により分娩します。静かな雰囲気の中で産まれます（胎児の聴覚に対する配慮）。最低限の照明の状態で分娩します（胎児の視覚に対する配慮）。お母さんの体温が感じられるように出産後すぐに産婦の身体の上に乗せます（胎児の触覚に対する配慮）。臍帯はゆっくり切ります（胎児の呼吸に対する配慮）。

② ソフロロジー式分娩：イメージトレーニングを繰り返すことで、出産を喜びとして受け入れ、痛みを減らすことができます。またエクササイズによる筋肉のリラックスとソフロロジー呼吸法は分娩時の胎児に十分な酸素を供給し、子宮の活動を促進させてくれます。

③ ボール分娩：ボールの弾力と柔らかさを利用してボールの上で産婦がリラックスできる姿勢をとります。

④ スイングチェア分娩：スイングチェアは産婦のお腹を圧迫せず、また刺激も与えないうつ伏せた姿勢で座るように制作された特殊な椅子で、前後に揺すると胎児の頭が重力の方向に向くようになり骨盤が広がって痛みが減少します。また家族が産婦の腰などをマッサージできるので痛みを減らすことができます。

⑤ 無痛分娩：子宮が3～4㎝開いた時に脊椎に注射による鎮痛剤を投与する方法です。痛みは軽減される反面、運動神経は残っているため自然分娩が可能です。陣痛の進行は早まりますが、産婦の血圧が低下し、胎児に負担をかけることがあります。

婦人科 

婦人科の良性疾患である子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣の良性腫瘍、子宮頚部上皮内腫瘍、子宮内膜症、子宮脱などと婦人科の悪性疾患である子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮肉腫などの診断と手術的治療及び薬物療法を施行しています。また思春期、未婚女性、妊娠可能期間の女性における婦人科的・内分泌的疾患及び閉経期に認められる症状の問題点を把握し、治療します。

① 腹腔鏡手術：子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣の良性腫瘍、子宮内膜症などにおいて腹腔鏡手術を行っており、また単孔式腹腔鏡手術も施行しています。

② ロボット「ダヴィンチXi」による手術：子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣の良性腫瘍、子宮内膜症のみならず、あらゆる婦人がんの手術において最新型ロボット「ダヴィンチXi」による手術を行っており、また単孔式腹腔鏡手術も施行しています。

③ 婦人がん治療：婦人がん専門医らは婦人がんに関する最新研究を活発に進めており、これに基づいて手術及び化学療法、分子標的治療、免疫療法及び臨床試験を行っています。

④ 内分泌的疾患：婦人科内分泌専門医は青少年と未婚女性の婦人科的疾患又は妊娠可能期間の女性における排卵障害などを診断し、オーダーメイド医療を実施します。また内分泌的疾患による不妊に関する相談も行っています。