
1. がんの早期診断及び予防クリニック
婦人がんの早期診断
* 子宮頚がん:子宮頸部に生じるがんです。韓国の女性生殖器がんの中、最も頻繁に発症し、その原因はヒト乳頭腫ウイルスと言われています。子宮頚がんの大半は上皮内腫瘍という前がん病変を数年前から発症するので、年1回以上の子宮頸部細胞診検査を受けることで早期に発見することが可能です。最近ではヒト乳頭腫ウイルスに対するワクチンが開発されHPV 16、18型によるがんの発症を予防できるようになりました。
* 卵巣がん:卵巣がんは主に閉経以後の女性から発症し、最近では韓国でも患者数が増加しています。自覚症状がほとんどないため、約75%の進行度を示す状態で発見することが多いです。がんが進行した状態で発見された場合、腫瘍縮小手術と呼ばれる広範囲な手術と術後には補助療法の抗がん剤治療を施行することになります。卵巣がんの早期診断のためには、症状が現れていない状態での定期的な検査が最も大事です。現在お勧めの早期診断法としては定期的な超音波診断及びCA-125という腫瘍標識物質を用いた検査などがあります。
* 子宮内膜がん:子宮内膜がんは、最近韓国で急激に増加している疾患です。危険因子としては肥満、少ない出産経験、53歳以後の閉経、無排卵周期、糖尿病、子宮内膜増殖症の既往歴、子宮内膜がんの家族歴等が取り上げられます。子宮内膜がん患者中、90%は不正性器出血あるいは分泌物などの症状を伴うため比較的早期診断が容易です。子宮内膜に沿い平らに厚くなった後、子宮筋肉の中へ入り込むので、超音波により子宮内膜の厚さと形を測定することで発症の推測ができます。その後、子宮内膜検査によりがん細胞が確認されたら子宮内膜がんとして診断されることになります。初期に診断された場合は予後が良いが、進行度が高い場合又は再発の場合には治療成績が良くないため定期的な検診を行う必要があります。
予防クリニック
* 子宮頚がん予防ワクチン:子宮頚がん予防ワクチンの施行と共に広報にも力を入れています。
* 遺伝性婦人がんクリニック:子宮内膜がんと卵巣がんの場合、遺伝により発症することがあります。子宮内膜がん患者で大腸がん、卵巣がんなどの家族歴がある場合は遺伝相談が必要です。また卵巣がんの場合はBRCAという遺伝子の影響で乳がんと共に遺伝性乳がん・卵巣がん症候群が発症する可能性があるので、卵巣がん患者の家族構成員中、乳がん又は卵巣がん患者が一人でもいる場合は遺伝子検査を受けなければなりません。
2. がん専門クリニック
米国婦人科腫瘍学会の最新知見及び大韓婦人腫瘍学会のガイドラインに従い、患者の皆さんに最新・最高の治療を提供しています。
* 子宮頚がん:組織検査により確定診断された上皮内腫瘍や上皮内がんの場合は円錐切除術での治療が可能です。初期浸潤子宮頸がんの場合は根治的子宮切除術が原則とされており、女性婦人腫瘍センターでは妊娠を望む女性患者には根治的子宮頸部切除術を施行しています。また進行性子宮頸がんの場合は、抗がん剤と放射線の同時治療を行っています。
* 卵巣がん:卵巣がんの治療に関しては原則として手術的治療が行われます。目に見える腫瘍を最大限に摘出することで、良好な予後が得られるため腫瘍縮小手術と呼ばれており、また初期には腹腔鏡手術を施行しています。卵巣がんの病期(ステージ)は術後の病理検査の結果により決定され、大抵の場合において補助的抗がん剤治療が必要になります。
* 子宮内膜がん:子宮内膜がんは手術治療を原則とします。手術の範囲は子宮及び子宮付属器、骨盤及び大動脈リンパ節の切除までとなり、病理検査により病期が決まります。女性婦人腫瘍センターでは3期以上の病期でなければ腹腔鏡手術を施行しています。なお、がんが子宮内に局限しており、細胞の分化度が良好であれば補助的治療は必要ありませんが、子宮頸部や子宮外部まで進行している場合なら放射線治療又は抗がん剤治療を施行することになります。
3. QOL(Quality of Life、生活の質)クリニック
新しい抗がん剤開発などの医学的発展により、がん患者の生存率がますます高まることからがん完治後の幸せな生活に対する関心が増加しています。これを受けて女性婦人腫瘍センターではリンパ浮腫クリニック、補完代替医学クリニック、免疫治療クリニックなどの運営により、がん患者における生活の質を改善するために最良のサービスを提供しています。
* リンパ浮腫クリニック:大抵の婦人がん手術時に行われる骨盤リンパ節切除術により発症するリンパ浮腫は長期的な管理及び治療が必要です。
* 補完代替医学クリニック:手術、抗がん剤治療、放射線治療以外に免疫治療(ヤドリギ療法)を施行しており、各種栄養剤及び健康補助食品に関する情報も提供しています。
4. 良性腫瘍クリニック
* 子宮筋腫クリニック:子宮筋腫とは、子宮体部に発生する良性腫瘍のことで、30代では約30%、40代では約40%の発症率をあらわすほどよく見られる病気です。筋腫が発見されると筋腫の大きさ、患者の年齢、症状などに応じた治療が行われます。治療法としては、ホルモン治療、性腺刺激ホルモン放出ホルモン類似体、プロゲスチン含有の子宮内挿入装置などの非手術的治療法と子宮筋腫切除術及び子宮摘出術などの手術的治療法があります。
* 子宮内膜症及び子宮腺筋症クリニック:子宮内膜症とは、子宮内膜の組織が子宮内膜以外の場所に存在する病気です。卵巣及び骨盤腹膜、子宮で最も多く見られますが、この中、子宮に発生する場合を子宮腺筋症と呼びます。主に閉経期以前の女性に多く見られ、生理痛、不妊の原因とされています。
* 卵巣嚢腫及び良性腫瘍クリニック:卵巣嚢腫は大きく機能性嚢腫と非機能性嚢腫と分けられます。機能性嚢腫とは、正常な生理周期において発生し、形成後に消滅する嚢腫です。代表的に卵胞嚢腫と黄体嚢腫があります。また機能性嚢腫以外の良性腫瘍としては成熟奇形腫、子宮内膜腫、表面上皮由来腫瘍などが取り上げられますが、これらは手術が必要な場合が多いです。本クリニックでは骨盤内視鏡、経膣内視鏡及び単一瘻孔腹腔鏡手術など、最新の手術法を取り入れて治療を行っています。